2019年3月期 通期
1. 経営成績等の概況
当事業年度(平成30年4月1日~平成31年3月31日)におけるわが国経済は、緩やかに景気の回復が持続しております。輸出はおおむね横ばいとなっているものの、企業収益が過去最高を記録する中で設備投資が増加するとともに、雇用・所得環境の改善により個人消費の持ち直しが続くなど、経済の好循環は着実に回りつつあります。ただし、相次いだ自然災害により、個人消費や輸出を中心に経済は一時的に押し下げられました。
当社の事業領域であるオンラインゲーム業界は、国内市場全体は成長しておりますが、その主たる要因はスマートフォンゲームによるものであります。また、現在主流となっているアイテム課金(Free to Play)モデルにおいて、課金ユーザー1人あたりの平均課金額はますます増加してきております。
ソフトウェア販売を取り巻く環境としましては、前年度の国内パソコン出荷台数は昨年対比で微減となり、そのうち個人向けは減少、法人向けは増加と明暗がはっきりと分かれております。今後の出荷台数は個人向けが横ばい、法人向けは増加となる見込みであります。
このような環境のもと、当事業年度のオンラインゲーム事業の営業収益は、前事業年度及び当事業年度に開始したタイトルの不振により、前事業年度と比べて減収の結果となりました。
ソフトウェア販売事業につきましては、販売施策等で拡販に努めましたが当事業年度の営業収益は前事業年度と比べて減収の結果となりました。
また、ソフトバンク(株)との業務提携により平成31年1月より開始した「App Pass」の運用業務を開始したことにより、営業収益及び営業利益が増加しております。
営業費用につきましては、前事業年度と比べて大幅に減少しております。
以上の結果、当事業年度の営業収益は11億50百万円(前事業年度比9.8%減)、営業損失は1億41百万円(前事業年度は2億33百万円の営業損失)、経常損失は1億38百万円(前事業年度は2億23百万円の経常損失)、当期純損失2億7百万円(前事業年度は2億29百万円の当期純損失)となりました。
当事業年度のセグメント別販売実績については、以下のとおりであります。
(単位:千円、%)
第31期3月期 | |||
---|---|---|---|
金額 | 前年同期比 | 構成比 | |
オンラインゲーム事業 | 564,106 | △31.5 | 49.0 |
ソフトウェア販売事業 | 368,853 | △2.8 | 32.1 |
サイト広告販売事業 | 41,822 | △14.7 | 3.6 |
App Pass事業 | 163,049 | ─ | 14.2 |
その他 | 12,470 | △45.8 | 1.1 |
合計 | 1,150,302 | △9.8 | 100.0 |
オンラインゲーム事業
当事業年度におけるオンラインゲーム事業の販売金額は、5億64百万円(前事業年度31.5%減)となりました。当事業年度において、スマートフォンゲーム「幻想大陸エレストリア」、ブラウザゲーム「ドラゴンリベンジ」のサービスを開始し、当社運営のゲームポータル「VectorGame」でのブラウザゲームのチャネリングタイトルが9タイトル増加しました。一方、ブラウザゲーム「三国ベースボール」「リグレティア」「クリプトアイランド」、スマートフォンゲーム「B.LEAGUE ドリームアリーナ」「侵攻のオトメギアス」、「VectorGame」でのブラウザゲームのチャネリングタイトルが4タイトル運営を終了しました。
ゲームの区分と運営タイトル数については以下のとおりであります。
第30期 期末 |
第31期 | 第31期 期末 |
||
---|---|---|---|---|
増加 | 減少 | |||
従来型オンラインゲーム ※1 | 5 | ─ | ─ | 5 |
ブラウザゲーム ※2 | 24 | 10 | 7 | 27 |
スマートフォンゲーム | 4 | 1 | 2 | 3 |
合計 | 33 | 11 | 9 | 35 |
(注)1.クライアントソフトをパソコンにダウンロードするもの
2.パソコンのブラウザ上で起動するダウンロード不要のもの
ソフトウェア販売事業
当事業年度におけるソフトウェア販売事業の販売金額は、3億68百万円(前事業年度比2.8%減)となりました。ソフトウェアのダウンロード販売事業は、法人向け市場の販売は底堅く推移し、個人向け市場は減少が続いておりますが、販売施策により減少幅は少なくなってきております。
サイト広告販売事業
当事業年度におけるサイト広告販売事業の販売金額は、41百万円(前事業年度比14.7%減)となりました。ネットワーク配信型広告(キーワード広告、ユーザーの傾向を分析する行動ターゲティング広告等)の営業収益は、サイトページビュー数の減少に加え、配信単価の下落の影響を受けて大幅に減少しております。
App Pass事業
平成31年1月よりApp Pass運用受託を開始したことにより、App Pass事業として設定しております。当事業年度におけるApp Pass事業の販売金額は、1億63百万円となりました。 App Pass利用者数に応じた収入が当事業の販売金額となっております。
その他
当事業年度におけるその他の販売金額は、12百万円(前事業年度比45.8%減)となりました。その他の販売金額には、ゲーム以外のスマートフォン向けサービスの販売金額が含まれております。
(2)当期の財政状態の概況
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ3億98百万円増加して19億26百万円となりました。また、負債合計が前事業年度末に比べ6億5百万円増加して8億67百万円となり、純資産合計が前事業年度末に比べ2億7百万円減少して10億59百万円となりました。
(資産)
流動資産減少の主な要因は、売掛金が56百万円、未収入金が3億円、前払費用が15百万円増加したものの、現金及び預金が4億59百万円、その他が3百万円減少したことに加え、貸倒引当金が3百万円増加したことによるものです。
固定資産増加の主な要因は、無形固定資産が4億円、投資その他の資産が87百万円、有形固定資産が3百万円増加したことによるものです。
(負債)
流動負債増加の主な要因は、買掛金が18百万円、前受金が2百万円減少したものの、預り金が4億59百万円、未払金が1億17百万円、事業譲渡損失引当金が32百万円増加したこと等によるものです。
固定負債増加の要因は、退職給付引当金が2百万減少したことによるものです。
(純資産)
純資産減少の主な要因は、当期純損失2億7百万円を計上したこと等によるものです。
また、自己資本比率は55.0%となりました。
(3)当期のキャッシュ・フローの概況
当事業年度において現金及び現金同等物は、期首残高の12億16百万円から4億59百万円減少し、期末残高が7億57百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純損失2億4百万円から減価償却費1億21百万円、売上債権の減少額等を差し引いた小計段階で47百万円の収入となり、利息及び配当金の受取りと法人税等の支払いを差し引きした結果、46百万円の収入(前事業年度は1億52百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産(ソフトウェア)取得による支出4億10百万円、投資有価証券の取得による支出1億円等があり、5億6百万円の支出(前事業年度は2億76百万円の収入)となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせた純現金収支(フリーキャッシュ・フロー)は、4億59百万円の支出超過となり、現金及び現金同等物の残高の減少要因となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動によるキャッシュ・フローの収支はありませんでした(前事業年度は3百万円の収入)。
(4)今後の見通し
当社は、平成18年にオンラインゲーム事業を開始して以来、パソコン向けゲーム、携帯電話向けゲーム、スマートフォン向けゲーム等で事業を展開してまいりました。しかしながら、昨今のスマートフォン向けゲーム市場での競争の激化、PC向けゲーム市場の縮小等の影響を受け、ゲーム事業の売上はここ数年、減少の一途を辿っております。当社では、新規タイトルのリリース、運営コストの圧縮等の諸施策を実施してまいりましたが、業績改善を図ることは困難と判断し、オンラインゲーム事業を譲渡することを平成31年3月20日開催の取締役会で決議いたしました。今後はソフトウェア販売事業及びサイト広告販売事業に加え、平成31年1月より開始した「App Pass」運営の業務提携とその拡大、新たな分野への事業参画を模索しつつ事業を進めてまいります。
以上の理由を背景として現段階での合理的な業績予想数値の算定を行うことが困難であるため、通期の業績予想に代えて翌四半期累計期間の業績予想を開示しております。
2. 会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社は、国際的な事業展開や資金調達を行っておりませんので、国内でのIFRSの採用動向を検討した結果、当面は日本基準に基づき財務諸表を作成する方針です。